ストーリーライターズ・ナイトとは? 出演者紹介 イベント・レポート アンケート
ストーリーライターズ・ナイトとは?
LOFT PROJECTが発行する、音楽フリーペーパー Rooftop9月号
LOFT/PLUSE ONE SELECT INTERVIEWからの転載
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全員が合議するまで話しあうシステム
---- ありがとうございます。そのシステムって作業的にはどんな作業なんでしょうか。

非常に簡単な話で、全員が合議するまで話し合う。神山さんたちとやっていた作業は、各話のシナリオライター全員合宿してストーリーラインを作っていくとか、ディスカッションの中で決めるという作業です。これは黒澤明さんもやっていた作業なんですが。

--- その作業は映画の企画やシナリオを決める際によく聞く話ですが、アニメでは珍しいんですね。

そうみたいです。普通、アニメの脚本はシリーズ構成の人がシナリオライターに発注して、それを直していく作業が多いようです。でも、自分が関わった作品は全体で作っていくというシステムだったので、それを外からもみせたい、風通しをよくしたいという思いが強いのかもしれません。

--- 全員が合議するまで話しあうと「折り合い」になったりしませんか?

ううん、説得するまでだから。例えばS.A.C.では、メンバーのなかで誰か一人がギミックとガジェットが合っていないと言えば、その人が納得するまでの方法論をみんなで話し続けることだと思います。決して折り合いではないですね。

--- 納得するまで話し合う。とても素晴らしく思います。しかし、かたやスタンドプレイの良さも感じてしまいます。チームプレイはバランスが物を言う気がするんですけど、スタンドプレイは感情のネガとポジがひっくり変える時の爆発的なエネルギーを出しやすいんじゃないか。「ふられた。でも絵の内では妄想したことを全部ぶつけられる!」といった、人間らしい利点もあるのではないかと。その勢いは人に何か感じさせやすいこともあるんじゃないか、ある種チームプレイよりパッションを出しやすいんじゃないかと。チームプレイではどうやってそのあたりを出すのかな、と。

いや逆に、偶然生まれるかもしれない天才のきらめきっていうやつは教えることができないんですよ。よく「おりてくるまで」って言うじゃない? それを出すためには、なんていうのかな、もう民間療法に近い世界だと思うんですよ。お風呂によく入ると出るとか、散歩をすると出るとか、ひらめきを待つというレベルでね。ただアニメの脚本とかライトノベルとかの主戦場である物語の作り方というのはそういったきらめきよりも、発注・オーダー・納期を守る、という方が強い業界なんですね。それに応えていくことこそプライドだったりする部分があるので。それをふまえて、きらめきがあると素晴らしいんですけどね。

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