ストーリーライターズ・ナイトとは? 出演者紹介 イベント・レポート アンケート
ストーリーライターズ・ナイトとは?
LOFT PROJECTが発行する、音楽フリーペーパー Rooftop9月号
LOFT/PLUSE ONE SELECT INTERVIEWからの転載
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土壌
---- 天才だって何もないところからポンと生まれる訳ではないですもんね。何かの土壌がないと生まれないし、その土壌が潤っている方が出やすいですもんね。その出やすい土壌を作っていく一端になればという思いが佐藤さんにあるのでしょうか。

そうですね。もしそうなれば本当にうれしいですね。

--- 昔はライターズスクールがそれをになっていたと思うのですが、最近あんまりみないですね。90年代頃まではそろばん塾のようにあった気がするんですが。

ネットが代わりになってる気がします。そこで作品が発表できるから。昔はライターズスクール的なものがそのステップになっていたけど、生徒になってバイトになってそっから小説家になったり、ライターになったり、脚本家になったりって。今は弟子制とかもないから、どうやって脚本家になったらいいのかわからないという質問が結構あるんですよね。僕は脚本家になったのは遅いし、別の分野でやってきたことの経験も武器になっているので、自分の場合はこういうふうにやってきたけど、っていう話が誰かの参考になったらいいです。

--- ネットもいいんですけど、やっぱり顔をみて話してもらうイベントを私は今凄く重要視しています。双方いいことも悪いこともあるんですけど、両方あった方がいいと最近とみに感じます。どこかのネットに書いてあること、何かに書いてあること、それが全てと受け取られることがなんだかあまりに多いような。ネットの悪いところを一つあげるとすると「イケニエ・システム」かなって私は思うんです。佐藤さんがこういった土壌作りや、風通しを考えてやっていることを、佐藤は表に立っているから吊し上げちゃえってニヤニヤしている人もいる気がするんですよ。その悪意が育つ場所はどこかなって考えると人の顔がみえないところなんじゃないかって私は思うんです。

まぁディスられやすいかもね、僕(笑)

--- 一番初めに言う、目立つという点で、そうし過ぎると何が起こるのか? 何もなくなっちゃうことになるんじゃないかって思うんです。何かが起こって何かが出来ていく時って振り子だと思うんですよ。片方にふれて、片方からの力もかかって振り子が振られる。その振り幅が大きければ大きい程エネルギーは強いし、その振り子の風速を感じていることが熱になる、そこにいることが気持ちがいいとみんな知っているのに、もっと熱を求めて振り子のタマ自体をピラニアみたいに食いつくして回ってる。だから何も残らない。もうそれにみんな飽きてるんじゃないかって思うんですけど、何故やめられないんだろうって……すいません、イキナリ質問ではない話しをしちゃって……。

アハハ、いいですよ。あ、ロッテルダム映画祭のことを思い出したよ。僕たちはこうして文字の恩恵に与っているわけですが、外に行くと、それだけだとよくないんじゃないかって思うんです。例えばそのロッテルダム映画祭ですけど、そこはほとんど有志の人がやっていてどこそこの会社とかではないんですよ。だから楽屋的なものもみんな一緒。脚本を書いていると役者さんに会ったり、スタッフさんに会ったりってそうそうないんですよ。でもそこでは色々な人に出会えて、色々な現場の話を聞けたりする。すぐフィードバックする訳ではないけれど、いい影響が多いんです。プラスワンもそういう場所だよね。

才能がなくてもできる

--- 話がずっと戻るのですが、先程「脚本もライトノベルも僕らが関わっている主戦場」っていうお話がありましたが、ガガガ文庫のブレーンというのもこのイベントに大きな影響があるんですよね。

これも今回のイベントをやろうと思った契機でもあるんですよ。小学館で「ガガガ文庫」というライトノベルのラインを立ち上げるためにスタッフに入っているんですが、ここでも若い作家志望の人の作品をみたり、それを立ち上げようとする若い編集たちと話したりする機会が増えたんです。

--- 色んな状況が重なって、イベントをやる契機になったんですね。

うん。話したいなっていう初期原動ありきですけど、いろいろな偶然が重なってますね。あとトークの内容で思うのは、希有な才能がなくてもできるっていうことを話せたらいいな、と。どれだけ焼き直しやコピーでできているか、誰かがモンタージュって手法を考えて、それで脚本ができあがっていたりもしている。誰でもできるツールがある、ということを知ってもらえたらと思っているし、過去のクリエイターと地続きであるということを話せたら。自分も含めてそのあたりの歴史的要素が抜け落ちている感じがするんで、一緒に話せたらいいなと。

--- 物事はそのモノだけで成立している訳ではないと。

そういった色々な背景も話せたらいいね。

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